1.福祉(ふくし)とは?
「福祉」とは「ふだんの くらしの しあわせ」とも言います。
福祉の「福」も「祉」も、どちらの字も「しあわせ」という意味を持ちます。
「福」は幸福などに用いられるように、心の「しあわせ」です。
「祉」は「めぐりあわせ」や「機会」です。また、「しあわせ」のためにそれぞれの人が力や知恵を出し合う「仕合せ」という意味があります。
つまり、「福祉」とはそれぞれがの人力や知恵を出し合って「人を幸せにすること」なのです。
何を幸せと感じるかは一人ひとり違いますが、誰もが「自分の幸せ」を願っています。
だからこそ「他の人の幸せ」も大切にすることが求められています。
一人ひとりが幸せに暮らしていけるよう、自分のことだけでなく、他の人を大切にし、一緒に支え合って生きていくことが「福祉」と言えるでしょう。
2.福祉教育とは?
私たちの地域で、誰もが幸せに暮らしていくためには何をしたらいいか。
ふだんのくらしの中の生活課題を解決していくためにはどのようにすればいいのか。
生活課題から福祉課題に気づき、そのことを様々な人と共に考え、実際に行動するための力を育むことが福祉教育です。福祉教育は、一人ではなく皆で話し合いながら実践していくことで、人と人との関わりについて考えるきっかけとなります。
そこでは、障がい者、高齢者といった漠然とした対象ではなく、実際に地域でふだんのくらしを営む身近な他者を対象とします。そして、他者の生活課題を「他人事」とするのではなく、「自分事」として身近な福祉課題として意識してもらうことが大切です。
福祉教育は、一人ひとりが地域の生活課題・福祉課題に気づき、共有し、その解決に向けて協働していく、“気づき”と“つながり”のプロセスです。このプロセスは、地域福祉を推進していくために重要なものであり、「地域住民の豊かな成長」と「地域福祉の推進」という2つの側面があります。
多摩区社会福祉協議会では、この2つの側面を基に「学校教育の場」「家庭教育の場」「地域教育の場」の3点から、福祉教育を推進しています。
3.なぜ、福祉教育は必要なの?
現在、多摩区内で活躍されている多くの福祉団体は、活動の担い手不足を問題としています。その中で、現在の地域福祉を担う人材への啓発、また、次世代の地域福祉を担う人材の育成の2つの視点から福祉教育を進めることが求められています。そのためには、福祉は「高齢者・障がい者のためのもの」といった特別なものではなく、「様々な人が幸せになるためのもの」という、誰もの身近なものであるという認識を広めていくことが必要になります。
自身だけでなく他者への思いやりの心を育てていくとともに、地域の福祉の推進のための理解者・支援者を拡充していくことが福祉教育には期待されています。
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<参考文献>「福祉教育プログラムガイド 効果的な学習の展開に向けた学びのプロセス提案」/社会福祉法人 川崎市社会福祉協議会(2015)